「うちの子、全然勉強しない!」全く勉強しない中学生への3つの処方箋

「うちの子、全然勉強しない…」

中学生のお子さんを持つ保護者なら、一度は頭を抱えたことがあるのではないでしょうか。毎日「勉強しなさい!」と口うるさく言っても、まるで効果がない。それどころか、ますます反発して、親子関係まで悪化してしまう…。そんな悩みを抱えていませんか?

勉強をしないことは、お子さんの将来に様々な影響を及ぼす可能性があります。進学の選択肢が狭まるだけでなく、将来の職業選択、さらには自己肯定感の低下にも繋がるかもしれません。だからこそ、今、何かできることはないかと模索するのは当然のことです。

この記事では、全く勉強しない中学生のお子さんを持つ保護者のために、具体的な解決策を3つのポイントに絞ってご紹介します。お子さんの学習意欲を引き出し、前向きな変化を促すための第一歩を、ぜひこの記事から踏み出してください。

目次

1. なぜ勉強しないのか? 現状の把握

「勉強しない」と一言で言っても、その背景には様々な要因が隠されています。まずは、お子さんがなぜ勉強しないのか、その現状を把握することから始めましょう。

中学生の学習時間や学習意欲に関するデータを見てみると、学年が上がるにつれて学習時間が減少し、学習意欲も低下する傾向が見られます。これは、中学校の学習内容が高度化し、難易度が上がることが一因と考えられます。

また、「勉強しない中学生」には、いくつかの典型的なパターンが見られます。例えば、反抗期による親への反発、学習への苦手意識、興味関心の欠如、友人関係、家庭環境などが挙げられます。

  • 反抗期: 親の言うことに反発し、勉強を拒否する。
  • 学習への苦手意識: 勉強が難しく、理解できないため、やる気を失う。
  • 興味関心の欠如: 勉強内容に興味が持てず、退屈に感じる。
  • 友人関係: 友人との遊びや交流を優先し、勉強時間が減る。
  • 家庭環境: 家庭内の不和や、親の過干渉などが、子供の学習意欲を阻害する。

保護者が陥りやすい誤解として、「勉強しなさい」という言葉の連発があります。しかし、これは逆効果になる可能性が高いことを理解しておきましょう。頭ごなしの叱責や、過度な期待は、お子さんの学習意欲をさらに阻害する可能性があります。

2. 事例紹介:勉強しない中学生

実際に勉強しなかった中学生がどのような末路を辿るのか、いくつか私が見てきた・聞いてきた事例をご紹介します。

エピソード1:スポーツを言い訳に…

「勉強は子供の自主性に任せる」と言う話はよく耳にしますが、中学生は見えている視野も狭く、甘い道へ逃げがちです。

サッカーのクラブチームに所属して日々頑張っていた中学生のAくんですが、その部活動を理由にして、定期テストの勉強をサボっていました。周りのサッカー部に所属する友達は定期テスト直前に部活動停止があったものの、クラブチームの場合はそれがなく、「だから勉強ができない」とよく話していたそうです。サッカーの実力が評価され、高校に行った先輩もいたことから、勉強に対する意識も甘く、通知表では英語・数学・理科が2、他は3という状態でした。

春になり、クラブチームは大会で優秀な成績を収め、中心メンバーだったAくんには県内有数の強豪である私立・公立高校から練習会の参加のオファーがきました。その中にはAくんの志望校であったB高校からも、参加要請があり、ウキウキでいったそうです。サッカーでの評価も高く、「ぜひウチに来て欲しい」と言われたようですが、成績の話をすると、一転。「2がついている状況はまずいので、せめて3年生では3以上をとって欲しい。そうしないと、推薦の候補にすらあげられない」と言われたとのことです。

ただ、勉強をこれまで全くしておらず、突然中学3年生の内容だけを学習してもちんぷんかんぷん。1ヶ月だけでは間に合わず、直後のテストはいつも通り30点台。これが影響し、英語・数学は2がついてしまい、志望していた推薦基準を満たすことができず、Aくんは志望校に受験すらできない状態になってしまいました。

エピソード2:問題児と言われていた中学生が変わるきっかけ

とある冬の時期に入塾したCさんは学校では問題児とされており、職員会議でもたまたま話題にあがっていたとのことでした。宿題は出さない、点数は低い、授業態度も悪いと教員の心象は最悪だったようです。

ですが、私の塾に入っていざ授業を担当すると、そんな様子は全く見えず。真面目に授業に取り組むどころか、むしろ質問を積極的にしてくれる生徒でした。宿題を忘れることは約1年でたったの2度だけで、どちらもノートそのものを家に忘れただけでした。

さすがにおかしいと思い、授業終わりに学校のことを質問していくと、だんだん問題が明らかになりました。Cさんは学校で勉強ができない子・サボっている子として扱われており、質問しても「なんでこんな簡単なのがわからないんだ」と怒られ、それから聞けなくなっていたとのことでした。結果、勉強もわからないからしなくなり、成績が下がっていただけ。この理由を聞いたときの言葉にならない感情は今でも忘れません。

その後、私の指導のもとで成績はぐんぐん伸び、当初から偏差値を10以上あげ、志望校へ合格しました。受験後に本人は「頑張っているのを応援し、支えてもらえていたことが嬉しく、励みになった」と話してくれています。認められ、応援される環境をつくってあげることは子供にとって、大人が考える以上に大事な空間です。

2つの事例からわかること

これらの事例からわかることは、以下の2点です。

  • 勉強はいざというときに、足枷にも助けにもなる
  • 環境を変えることで、大きく変わる子供もいる

3.1 解決策1:ありのままのその子を認めてあげる

人間には、生まれつき「自分を受け入れてほしい」「自分のことを認めてほしい」という欲求が備わっています。この欲求を満たしてあげることが、お子さんの学習意欲を引き出す上で非常に重要になります。

心理学者のマズローは、人間の欲求には5つの段階があり、下から順に満たされる必要があると唱えました。これはマズローの欲求段階説として知られています。「目標点数を達成したい」「受験に合格して自分の可能性を拓きたい」と思うのは、一番上の「自己実現の欲求」です。その下に「承認欲求」と「所属と愛の欲求」があります。

つまり、「勉強ができるようになりたい」と思うためには、まず先に「所属と愛の欲求(=家族や社会から愛され所属しているという実感)」と「承認欲求(=今の自分を認めてもらう事)」を満たさないといけないのです。

「所属と愛の欲求」と「承認欲求」を満たしてあげることなく、すっ飛ばして「自己実現をしなさい!」と言っても、お子さんはやるはずがありませんし、放置したらますます堕落していくだけです。

大切なことは、勉強ができる・できないにかかわらず、お子さんの存在を認めてあげることです。家族の一員として、十分に愛情をもって接してあげることです。勉強が出来るとか出来ないとか、それとは関係なく、気にかけて十分に愛情を伝えてあげてください。

具体的なアプローチとしては、以下の点が挙げられます。

  • 勉強の成果ではなく、お子さんの努力の過程や取り組み自体を褒める
  • お子さんの好きなこと、得意なことを見つけて認め、才能を伸ばすサポートをする。
  • 親子のコミュニケーションを密にし、お子さんの話に耳を傾ける姿勢を示す。

3.2 解決策2:勉強しやすい環境を整えてあげる

勉強しやすい環境を整えることは、お子さんの学習意欲を高める上で不可欠です。物理的な環境だけでなく、時間的な環境、家庭内の雰囲気づくりも重要になります。

物理的な環境整備

  • 整理整頓された学習スペースの確保
  • 誘惑となるもの(スマホ、ゲーム、漫画など)を遠ざける工夫
  • 適切な照明、温度、騒音対策

時間的な環境整備

  • 規則正しい生活習慣の確立(睡眠時間、食事時間、学習時間)
  • 効果的な学習計画の作成と実行
  • 適度な休憩とリフレッシュの時間の確保

家庭内の雰囲気づくり

  • 家族が協力し、学習を応援する姿勢を示す
  • テレビを消して静かな時間を作る、家族で読書をするなど、学習を促す雰囲気づくり

3.3 解決策3:親が真剣な姿勢を見せる

保護者が真剣な姿勢を見せることは、お子さんに大きな影響を与えます。「勉強しなさい」と言うだけでなく、親自身が学ぶ姿勢を見せたり、家庭学習に関与したりすることで、お子さんの学習意欲を高めることができます。

親自身が学ぶ姿勢

  • 親が本を読んだり、資格取得に挑戦したり、スキルアップのために学習する姿を見せる
  • 子供が勉強するときに、一緒の環境で仕事をする
  • 子供と一緒にニュースを見たり、社会問題について話し合ったりする

家庭学習への関与

  • 子供の宿題や課題に関心を持ち、一緒に考えたり、調べたりする
  • 子供に1日の学習内容を聞き、アウトプットさせる
  • 子供の学習進捗を把握し、適切なアドバイスやサポートを行う

また、言葉遣いと態度にも気を配りましょう。否定的な言葉や感情的な口調を避け、建設的なコミュニケーションを心がけることが大切です。お子さんの意見を尊重し、対等な立場で話し合うようにしましょう。

4. 結論

この記事では、全く勉強しない中学生のお子さんを持つ保護者のために、3つの解決策をご紹介しました。

  • ありのままのその子を認めてあげる
  • 勉強しやすい環境を整えてあげる
  • 親が真剣な姿勢を見せる

これらの解決策は、短期間で劇的な効果をもたらすものではありません。お子さんの成長を長い目で見守り、焦らず、根気強く、学習意欲をサポートし続けることが重要です。

この記事が、お子さんの学習意欲を引き出すための一助となれば幸いです。ぜひ今日から、できることから実践してみてください。

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